驚いた顔をしていたな……。 衣笠は、先刻の柏木の表情を思い出していた。 「当然の反応だな……」 力なく呟く。 柏木浩介は、自分の教え子だった学生の時分から、ある意味目立った存在だった。 多くの学生の中で何故こうも、自分の関心を引くのか……。 もちろん、その成績は群を抜いて優秀だった。 しかし何より――、 「あの不器用さ……私によく似ている」 クスリと笑いがもれる。