驚いて、黙ってしまった浩介にニコニコしながら彼は、
「君は、いくつになったのかね?」
と、脈絡のない質問をして来る。
「……二十九、ですが?」
――自分の年齢と、今の話と何の繋がりがあるのだろう?
「そうか、付き合っている女性はいないのかね?」
ますます脈絡がなくなって来る質問に、教授の真意を測りかねてしまう。
「……いませんが?」
今まで、女性との付き合いがなかったとは言わないが、如何せん、仕事柄『そんな暇がなかった』のだ。
いやむしろ、『そんな暇があったら、研究に当てていた』はずだ。
メニュー