そこは、一面の向日葵畑――。 遠くから、ミンミンゼミの大合唱が聞こえて来る。 麦わら帽子をかぶった、白いワンピースの華奢なシルエットが振り返る。 「この辺で良いかしら? あっ?」 柔らかい向日葵畑の土に、足下を取られて転けそうになる。 「うわあっ!?」 カメラを構えて、写真を撮ろうとしていた拓郎は、カメラを放り出して脱兎のごとく駆け寄り、彼女を抱え込む。 「……頼む――。頼むから、転けるのだけはやめてくれ。寿命が縮まる」 は~っ、と心からの安堵の溜息が、思わず漏れる。