「そうだな……。私とて、藍が日掛グループの令嬢だから惹かれた訳ではないし、オリジナル体だから愛した訳でもないな……」

――例え、彼女がクローン体だったとしても、やはり同じように愛しただろう……。

「申し訳ない。余計なことを言ったよ。しかし……」

柏木の目が笑う。

「はい?」

「いやね、つくづく君と恋敵にならずに済んで、良かったと思ってね」

「本当に……」 

答える拓郎の顔にも、笑みが浮かんでいた。