羊は確か、死んだのだ。 併発した病気が治療不可能な為、確か「安楽死」させられた筈だ。 そしてその羊は……。 「そう、クローン羊は、通常の寿命の半分で、死んだ……。 厳密に言えば、藍達の場合とは異なるのだが、クローン体という意味では同じだ。 通常十二年程の寿命を持つ羊。クローン体はその六歳のオリジナル体の細胞から作られた。 そのクローン体は、生まれながら六歳だったのだ。だから、本来の寿命の半分で老病で死んだ――」 拓郎は、ただその言葉に耳を傾けていた。