日翔源一郎は、『二週間で全てを終えるように』と言った。
藍の抱える持病を完治するためには、大がかりな外科手術が必要で、それを二週間で終わらせろと言う事だ。
元は、二ヶ月後に設定してあった予定が、二週間に早まってしまったのだ。
日頃沈着冷静な柏木もさすがに驚いたが、それはもう決定事項であって、変更は許されない。
源一郎の今回の突然の来訪は、半年前の『藍の家出』の事を警戒しての事だろう。
今回は、ガードマンも増えているし、前のようには行かないと思った方が良い。
それに、二週間という期日も、実際に可能なラインを言ってきている。
時間が無さ過ぎるから無理だと言えば、詳細な資料を提示され、可能だと納得させられてしまうだろう。
これが一週間であれば、柏木も『文句を言う隙』があるのだが、その辺はさすがと言うべきか。
「少なくても、表向きは手術の準備をして見せるしかないな。後は、芝崎君が間に合ってくれることを祈ろう。もし、最悪間に合わない場合は……」
柏木は、ベッドサイドに腰を下ろすと、電極だらけで動けない藍の顔を覗き込んで微かに口の端を上げた。



