蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~


その夜。


拓郎は、藍が居なくなってから始めて、彼女の夢を見た。


一面の蒼い色彩の中。


藍は、まるで胎児のように身体を丸め、静かに眠っていた。


フワフワと揺れている、美しく長い髪。


その寝顔は、まるで赤子のように安らかで、穏やかな笑みが浮かんでいた。


『藍! 藍!』


拓郎は、藍を起こそうと必死で名を呼ぶが、声が出ない。


近付こうとするのに、身体が動かない。


ただ、藍は眠っている。


安らかに。


まるで、おとぎ話の眠り姫のように――。