取材の報告を済ませ、藤田に協力の礼を言いに行き、自分の仕事の打ち合わせを一つこなして拓郎が自宅アパートに戻ったのは、もう夜の10時を回っていた。
既に街は、夜の帳に包まれている。
拓郎は、駐車場に車を停めると、重い足取りで自分の部屋に向かった。
疲れていた。
思うような結果が得られない焦燥感が、余計に身体の疲労を助長させるのかもしれない。
振り仰げば、待つ人の居ない、冷たい部屋の暗い窓が目に入る。
そう冷たいのだ。
そして、淋しい……。
藍と会う以前は、こんな風に感じたことはなかったのに。
もしも。
もしも、このまま藍に会えなかったら。
この淋しさも、いつかは薄れてくれるのだろうか。



