専門家が時間が掛かるというのだから、掛かるのだろう。
ここで駄々をこねてみて仕方がない。
「それじゃ、携帯の番号を」と拓郎が言いかけたとき、パソコンから『ピロロン』と音が鳴り響いた。
恭一は「おや?」と形の良い眉を片方上げて、モニターに視線を走らせる。
「もしかして、クリーン・ヒットしちゃったかな?」
笑いを含んだ恭一の言葉に、拓郎は椅子から飛ぶように立ち上がった。勢いが付きすぎて椅子がガタンと不平を鳴らすが構っちゃいられない。
「見付かりましたか!?」
「たぶん……ちょっと待って下さい。今写真を出しますから」
恭一も、今度は拓郎を制する事はせずに作業を続ける。
カチャカチャカチャ。
恭一がキーボードを叩くと、その言葉通り、画面に一枚の写真が映し出された。
何かの書類に添付された写真のようで、かなり小さく不明瞭だ。
カチャカチャ。
恭一がキーボードを叩くたびに、写真の画像は大きく明瞭になっていく。
「藍……」
ハッキリと映し出された人物写真を見詰めて、拓郎は思わず息を呑んだ。



