蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~


瀬谷恭一は、主にコンピュータのネットワークを使い人を捜す、いわゆる『サイバー・探偵』だった。


独自の情報網と極められたコンピューター技術を駆使して、部屋に居ながらに人を捜し出すのだ。


正に、現代社会が生み出したニュータイプの探偵とも言える。


居間の奥の一室に、この探偵の本当の意味の『仕事場』があった。


10畳ほどの洋間の壁一面が、様々なコンピューター機器で埋め尽くされている。光と熱を遮断するためか、窓と言う窓には、黒い遮光シートが張られていた。


完璧にエアーコンディションされた室温と、湿度。


門外漢の拓郎には、どの機械にどんな用途があるのかは全然分からない。


ただ、この部屋が『秘密基地』のようだと言う印象を受けた。


「顔写真があるので、案外早く見つかるかもしれませんが、早くて数十分、手間取れば数日かかるかもしれません。どうします? ここで待ちますか?」


「はい。ここで待たせて下さい」


恭一の質問に、拓郎は即答した。


今は、他に探す『あて』が思いつかない。


結果が出るのを待つ他、手立てがないのだ。


ここの居れば、結果を見てすぐ次の行動に移れる。