「あの、聞いても良いですか?」
カメラを手にして、ファインダーを覗く拓郎に、藍の質問が飛んでくる。
「何? 俺に答えられる事なら、なんなりとどうぞ」
「芝崎さんは、私のどこが好きなんですか?」
おお、そう来ますか、お嬢さん。
ある程度藍のビックリ発言に免疫が出来てきたのか、拓郎にも、ストレートな質問をぶつけられても、考えを巡らせる余裕が出てきた。
「うん? そうだな……」
カメラを下げて眉間にシワを寄せ『うーむ』と考え込んだ拓郎の様子に、藍の表情がだんだん心配気に歪んでいく。
拓郎はクスクス笑いを漏らしながら、『天然なところ』と悪戯小僧のような笑顔浮かべた。
途端に、藍の顔に『そんなところなんだ』と、微妙な表情が浮かんで拓郎の笑いは苦笑に変わる。



