相談するなら、娘の方じゃなく、母親の君恵の方にしておけば良かったかも。
何だか、人選を誤ったような気がしてきた。
「……始めてのプレゼントで指輪なんか贈られたら、引きませんか?」
「何? 指輪を贈って引かれるような薄っぺらい関係なの、あなた達」
「美奈さん、それ、キツイなぁ……」
痛いところをズバリと突かれ、拓郎は笑いが引きつってしまう。
拓郎も漠然と、このまま藍と二人で過ごして行ければいいとは思っているが、薄っぺらいも何も、今はまだ互いに好きだと認識しただけの関係に過ぎない。
それに、何も話してくれない藍の家の事、抱えているだろう内面の悩みの事も含めて解決していかなければならない問題は山積みだ。
「それ、拓郎の悪い癖だね。うだうだ考えていないで、好きなら指輪を贈って、プロポーズくらいしてみなさいよ」
「プッ、プロポーズ!? それはいくら何でも、ぶっ飛び過ぎじゃないですか?」
てか、中間点を端折り過ぎです、姉御。
「ぶっ飛び過ぎ、大いにいいじゃない。恋ってのは、大概がぶっ飛んでるものよ。藍ちゃん、今度の誕生日で18なんでしょ? もう立派に大人よ。あんたが考えているよりもずっとね」
そして美奈は、四月の誕生石が水晶とダイヤモンドだと教えた上で、『ダイヤモンドの方が断然お勧めね。藍ちゃん、大喜び間違いなし!』と、太鼓判をおして止めにご贔屓の宝石専門店まで紹介してくれたのだ。



