「藍ちゃんは、動物園ってどう思う?」
ふと、思い付きで拓郎が質問すると、藍は質問の意味が飲み込めないのか、きょとんと小首を傾げた。
「動物園をどう思うか、ですか?」
「そう、動物園とうい存在を、どう思うか」
拓郎は、少し言葉を足して目を瞬かせる藍の反応を見詰める。
子猫の死にあれほどのショックを受けた藍が、動物が好きなのは間違いない。
いささか、感受性が強い嫌いはあるが、命に対する倫理観も、至極真っ当なものだと拓郎は感じた。
別に、動物園の存在意義論争をしたい訳じゃない。
ただ。
始めて見るキリンの目が大きいと、子供のように瞳を輝かせる藍が、動物園と言う動物保護問題や愛護問題の巣窟のようなこの場所を、どんな風に捕らえているのか、その価値観を知りたくなったのだ。



