藍の爆弾発言の影には、美奈の画策あり。
まあ、美奈のせいばかりではなく、藍の素直さと、かなりユニークな思考回路との連係プレーが生み出した結果なのだが。
あれは、もの凄く心臓に悪いのだ。
「パンダの尻尾の色ねぇ……」
なんにせよ、家に籠もりがちの藍には、良い気晴らしになるだろう。
恵さまさまだ。
恵に感謝しつつ、拓郎はパンダのイメージを頭に浮かべながら、『う~ん』と眉を寄せた。
「白か黒だよなぁ。まさか、縞模様……とかは無さそうだから、バランス的に、黒のような気がするけど?」
「ブー。実は、白でした」
「なるほど、白か。一つ賢くなったな」
二人で顔を見合わせて笑う。
動物園で初デート。
まるで中学生みたいだが、こう言うのも悪くない。
子供のように瞳を輝かせる藍の横顔は屈託が無く、今までで一番楽しそうに見えた。
――カメラを持ってくるんだったな。
拓郎は目を細めて、藍の笑顔を眩しげに見詰めた。



