覗き込んだ拓郎と視線が合うと、藍はようやく、ほっとしたように身体の力を抜いた。


「あ……芝崎さん……。ごめ……大丈夫。怖い夢を見て……」


とぎれとぎれの声が喉の奥から縛り出され、瞳からはぽろぽろと涙が溢れ出す。


「藍ちゃん?」


夢から覚めたはずなのに。


その身体の震えは、止まらない。


「うっ……あっ……」


後から、後から溢れ出す涙が止まらない。


拓郎はどうしてやることも出来ずに、ただ震えるその華奢な体を、抱き締めた続けた。