拓郎は、九割方フリーズしている脳細胞を総動員して、何とか言葉を引き出しにかかった。
「で――、藍ちゃんはどうなの? 俺と、その……、したいと思うの?」
さすがに羞恥心が邪魔をして、藍のように面と向かって『セックスしたいのか』とは聞けない。
なんだこの変な日本語は!
と、思わず自分にツッコミを入れたい衝動に駆られながら、恟恟と藍の答えを待つ。
少し考えを巡らせるように沈黙した後、「よく分かりません」と藍が首を傾げるのを見て、拓郎は軽い目眩に襲われた。
――俺の方が分からないよ。
どうしてこういう会話に発展しているのか、全く理解できない。
前々からユニークな事を言う娘だとは思っていたが、これはまた特別にぶっ飛んでいるじゃないか。
普通は、この手の事は、頭で考えても言葉にはしない。
特に、若い女の子なら、恥じらって然るべき話題の筈だ。
なのに、それを照れもしないで平然と質問してくる。
いったいどういう環境で育ったら、こういう思考回路の持ち主になるのだろう?
謎だ。



