だが薄暗い中、手探りな事もあってなかなか上手く行かない。 焦って外そうとするが、余計にこんがらかってしまう。 「藍……」 何だかもの凄く悲しい気持ちになってきた時、拓郎に名を呼ばれた気がした。 「え?」と思った次の瞬間、ネクタイを持つ手首を掴まれ、強い力でグイっと引かれた。 グラリと、世界が傾く。 重力の洗礼を受けた藍は為す術もなくそのままベットの上に、正しくは拓郎の身体の上に、ドッサリと倒れ込んだ。