ちゃーの出産は、実に4時間に及び、結局6匹の子猫が生まれた。
さすがに恵は途中で眠くなり、君恵と共に寝室へ戻ったが、藍は美奈と二人で最後まで見届けた。
猫にしては大きいちゃーでも、人間からすれば小さな身体。
小さな身体で苦しみながら、それでも、全身全霊をかけて新しい命を生み出すその姿は、力強く、そしてとても美しかった。
まだ目も開かない生まれたばかりの小さな命は、もう既に母親の乳を懸命に吸っている。
これが、命。
命が生まれるということ――。
小さな小さな可愛らしい手で、懸命に母猫の乳房を押し出し一心不乱に乳を吸う子猫の姿を見ていたら、藍は何だか胸がいっぱいになってしまった。
溢れる想いが、涙の滴となって白い頬を伝い落ちる。
「藍ちゃん?」
藍の涙を見て、美奈が少し驚いたように目を見張った。
「あ、ごめんなさい。何だか涙が止まらなくて……命って、凄いですね」
「ああ、もう、あなたって娘は」
「み、美奈さん!?」
涙を浮かべながら、こぼれるような笑みを浮かべる藍を、美奈はギュッと抱きしめた。そのまま、恵にするようにスリスリと頬ずりをする。
「なんて良い娘なの。私が惚れそうだわ♪」
藍は、驚いて涙を浮かべたまま固まった。



