蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~


妊娠中のちゃーは、今にもはち切れそうなお腹をしていて、今日もパーティの最中はずっと丸くなって眠っていた。


でも、箱の中のちゃーは、様子が変だった。


『グゥニャン! ニチャウー!』と、苦しそうな鳴き声を上げて、立ち上がってはグルグルその場を回り、また横になる。


その繰り返しをしていた。


尋常な動きじゃないのが藍にも分かる。


「ちゃーちゃん、どうしたんですか!?」


こんな苦しそうな猫の鳴き声を始めの聞いた藍は、驚いてしまった。


「大丈夫よ。陣痛が始まっただけだから、心配いらないわ」


「ジンツウ……?」


ジンツウ、陣痛?


赤ちゃんが生まれるときに母親が感じる痛みの事だと、言葉と知識が藍の脳内でリンクする。


「じゃあ、今から、赤ちゃんが……」


「そう、生まれるわよ」


命が生まれる。


新しい命が、生み出される。


ニッコリと浮かんだ美奈の笑顔を、藍は驚きの眼差しで見詰めた。