出会ったときから笑顔で。 少し強引で。 でも一生懸命で。 十も年上だと言うのに、まるで少年のように屈託が無くて、心の中にスルリと入ってきた人。 ――こんなに、胸の奥が痛いのはどうして? ――同情、なのかな? 『男として好きかってこと』 美奈の言葉と拓郎の笑顔が、頭の中をぐるぐると回る。 「……お水でも、貰ってこよう」 小さくため息をつくと、藍はカーディガンを羽織りキッチンへと足を向けた。