杉浦は念を押すかのように歩の目をじっと見つめた。

歩は杉浦が見せる表情に戸惑いを隠せずにいたが、すぐに気を取り直して答える。

歩(はい。もう覚悟は決めてここに来ました。)

杉浦(お前の中に一ミリも躊躇はないんだな?)

もう一度聞く杉浦を凝視できない歩は、ひるんだ様子を隠すかのように即座に、はい。と答えていた。
杉浦はその言葉を聞いてこれから決行する計画について続けて話す。

杉浦(決行日は明後日だ。今日でお前と俺は契約を結んだ。必ず俺の言った通りにするんだぞ。誰にも見られるんじゃないぞ。跡形もなく、全てを捨てろ。後始末はこちらでしておく。)

歩(わかりました。)

そう歩は答える。
その晩、歩は杉浦の泊まる部屋に一緒に泊まることになる。これから起きる事の幕開けを逃避するかのように、歩は杉浦に抱かれて無理矢理眠りにつく。
歩が寝静まったキングサイズのベッドで杉浦は目を開けたまま天井にうつる二人の影をじっと見つめていた。