翌日、そして、よく翌日と日々は過ぎていった。
待ち遠しい日ほど、どうしてこんなにも月日がたつのが遅いのだろう。
待ちにまってようやく、一週間後の手術の日が訪れた。

一週間後のその日、歩は約束の時間通りに病院の手術台にいた。

鼻にチューブを差し込まれる。
看護婦(ゆっくり、息をしてくださいね。)

鼻から差し込まれたチューブから眠気を誘うガスが出ている。歩はあっという間に眠りについていた。

ふわふわとした感覚が漂う。看護婦の声がだんだんと遠ざかる。

…歩は深い眠りにつく。

歩は眠りの途中でどこかでみた景色を見ていた。
灰色の景色の中に、オフィス街で死んだような顔を隠した女性がいた。
うつむいたまま、何か抱え込んでいるようなそんな影のある女性だった。
元気な歩は女性に話かけた。

歩(ねぇ、どうしたの?なぜ泣いているの?)

女性(抜けられないの…この空間から)

歩(え?どうゆうこと?)

女性(いつかあなたにも訪れるわ…)

歩は訳がわからないまま、女性の悲しみが何故か歩にのりうつったかのように自分も悲しみにくれる。