病院からの帰り道、歩はわくわくした気持ちでいっぱいになった。頭の中の曇り空がまるで消ゴムで消されていく。そんな感覚に陶酔していた。

あと一週間すれば、こんな鼻も、こんな気持ちもきっと新しい私になる。
さようなら…今までの私。

歩はそんな思いを抱えながら、帰宅した。

ガチャン。

玄関を開けて、リビングルームへ向かうと男が横になってテレビを見ていた。

歩(ただいま。)

男(おう、オカメ2号!病院いってきたのか!)

歩(あ、うん。)

なんだか歩はオカメと呼ばれていることに内心むっとしながらも、ぐっと心のうちを押さえた。

歩(あのね、私れいかさんみたいになるから)

男は笑ながらいう。

男(ははは!がんばれよ。)

なんだか微妙な気分のまま歩は自分の部屋へともどった。