私はこんな所にいる人間ではないのだから…

何度も自分の意識を確認しながら、歩は日々の仕事をこなしていく。
どんなに嫌な客が来ても歩は耐える。お前もオカメと同じだという言葉を思い出せば、どんなに不快な人間の前でも笑顔をつくることができていた。

10万円…

一週間後には40万円…

50万円…70万円…とみるみるうちに現金は増えていった。

現金は約300万近くためることができた。
歩は整形をするためにクリニックへ訪れる。

サングラスに帽子を深く被り、担当医以外に顔を知れないように、受け付けに向かう。

歩(すみません、14時に予約した桜川です。)

看護婦(お待ちしておりました。ではあちらで少々おまちください)

奥の待合室へと案内された。
名医のいる病院だからか、内装は小綺麗で待合室も他人と顔を合わせないような作りになっていた。
歩は席に座り、鞄の中から一枚の写真をとりだした。
れいかの写真だった。じっと写真を見つめていた時、看護婦から声がかかった。

看護婦(桜川さん、カウンセリング室にご案内します。)