店の中は外観よりも遥かに華やかでいるだけで満足してしまう、そんな店内であった。

大きな水槽に泳ぐ綺麗な熱帯魚、大理石がほどこされる店内にきらびやかなシャンデリア、テーブルに並ぶ高級ボトルと美しいドレスをまとった女たちが眩しかった。
歩の憧れの念を一層ひきたてていた。

歩と男は席に座り、美女に囲まれて酒をのみ交わした。
歩は、羨ましさと同時に隣にいるれいかを見てやっぱりこなければ良かったと内心後悔もした。ごく普通にしているけれど、なんだか自分が物凄く惨めに見えて仕方なかった。
そんな歩にお構い無しにれいかは話かける。

れいか(お酒のまないの?)

歩(…)

少し沈黙した後答える。

歩(あ、いただきます。)

れいかは少し首を傾げたようにまた話かける。

れいか(緊張してる?)

歩(いえ、別に…)

すかさず男がからかいまじりで話の間にわって入った。

男(おとなしーじゃねーか!れいかの横だと月とすっぽんだな!オカメと同じ!がははは)