通帳の振込先には男名義の物と、知らぬ名前の個人宛に巨額の金が見事に流れていた。

米村「なんだ、この振込先は…」

米村は呟きながら頭を抱え込んだ。

米村「くそっ。佐久間のやつ…」

そう呟きながらも10年以上の親友であった佐久間の裏切りに米村は言葉にできない悔しさと悲しみが込み上げた。
米村は混乱しながらも、デスクにしまってある名刺入れを引っ張りだし、取引先に片っ端から電話をかけ始め、会社の金の横領の被害にあったことを伝えた。
名刺入れを整理していると、藤田の名刺が挟まれていた。

米村は藤田が探偵だということを思い出す。

米村(まさかな…杉浦の仕業じゃないだろうな…)
そんなことを頭の中がよぎり、なんとなく米村は藤田に電話をかけた。

プルルルル…

プルルルル…

藤田「もしもし、お久しぶりです。米村さん。どうかしたんですか?」

米村「どうしたもなにも、会社の金を経理のやつにやられてしまって身動きがとれないんだ。」

藤田「ええ?」
藤田は電話の裏で驚いた。

米村「なぁ、藤田さん。振込先には見知らぬ個人口座がもうひとつあって、それがどこのどいつか調べてくれないか。もしかしたら、杉浦が絡んでいるかもしれない。」