杉浦はその録音機を片手に部屋を後にした。

そのころ、相変わらずの歩はうかれ気分で米村の用意してくれたマンションにいた。
何度も部屋に飾ってある自分のデザインした服のサンプルをみてはうっとりとした表情を浮かべていた。

それから一ヶ月がたとうとしていた頃、歩に電話がかかってくる。

ベッドルームの横でケータイのバイブの音が響く。


ブー…ブー…

歩「もしもし。」

電話は米村からだった。
米村はひどく動転した様子だった。

米村「もしもし、歩?今話できるか?」

歩「は、はい?どうかしたんですか?」

米村「れいかって名前の女、あいつ今何してるかしらないか?」

歩「え…?れいかさん?れいかさんなら…」

歩はふとれいかのことを思い出す。
れいかは噂では杉浦に追い込まれたままどこにいるのかを歩は全くしらなかった。

歩「あの、れいかさんなら…きっと杉浦さんに追い込まれて今頃…」
歩は考えながらあまりに残酷な場面を思いだし、語るのをやめた。

米村「あの女、まぢで見つけ出さないととんでもないことになる。」

歩「え…?」

米村「うちの経理の奴があの女にちょろまかされて、会社の金を横領してもちさったんだ。」

歩「ええ!」

歩は驚いた。