歩は米村の鋭い直感に少し怯えながらも自分の心を無理矢理落ち着かせた。

歩(あの、杉浦さんそんなに悪い人じゃないですよ…。どうしてそんな風に言うんですか?)

米村は眉間にシワを寄せる。

米村(あいつは、冷酷な人間だ。)

歩(そんなことないです。)

バンっと机に手をついて歩は言った。
一瞬感情的になってしまった自分を落ち着かせながら、米村に謝った。

歩(すみません。)

米村は歩の顔を見て尋ねた。

米村(君は何を隠してるんだ?何か弱味でも握られているのか?)

歩に静かに問いかける。

歩は俯きながらも言う。

歩(杉浦さんは私の恩人なんです。私の過去も何もかも消してくれた恩人なんです。)

米村(過去?)

歩(これ以上は言えません…)

そう言って歩はだまりこんだ。

米村はそんな歩をみて席をたつ。

米村(まぁ、いい。君のことは信頼してるよ。今日はもう帰ろう。)

そう言って二人は別れた。