「もうすぐだ。」


たくさんのバイクの走る音や風の音に負けないように、珍しく声を張った圭人の声音にはワクワクとした気持ちが表れてる。


なにが??、と聞こうとした瞬間、私は眼下に広がる景色に息を飲んだ。



「すごい……」


突然開けたかと思うと、目の前に広がるのは黒々とした海。


それ以外なにも見えなくて、月明かりに照らされてチラチラと波打つ海が光るだけだ。


まるで月しか存在しない空間を走っているような不思議な感覚。