「父さんは、やりたいのなら諦めるなと言った。 ただし二兎を追え、と。 会社もデザインも頑張れって。」 ゆっくり私を離した圭人は微笑みながら私の頭を撫でる。 「心配する必要なかったのにな。 このワンピース作ってたらまた母さんにぐちぐち言われたんだ。 …でも、そんなに喜んでくれると思わなかった。 嬉しい。」 「うん、私もすごく嬉しい。」 いつになくニコニコする圭人を見て嬉しく思いながら私も笑った。