しばらく放心状態だった…

「…何だったんだ?」

疑問と言うより、疑心ではあるが、普段はここまで危険性など感じる事はないはずなのに、この感覚は…恐怖心その物であった。

…カタカタ

その時だ、突然にトランクが揺れ動き出した。

硬く閉ざされているトランクから、ギチギチと重苦しい音をたてながら、ゆっくりと開いていく。

「どうなってんだ」
はっきりと発音出来たわけではないが、思わず吐き出した言葉だ。
腰を抜かしてしまった。
動けないまま、何が起こっているのか解らないトランクを、ただ見ているだけだった。