月 —Moon—




「相変わらず優しいね、伊世のお父さん。」



「仲良いよねー、2人。」




廊下を歩いて玄関に向かう。




「なぁに妬いてんの。」




ツンツン頬を指で突かれる。




やくわけないでしょうが!



相手はあたしの父さん。




彼氏じゃないし!!!




「あほか!」



「冗談だよ。」




はははーっと笑って靴を履く未紗。




「気をつけてね?」



「送ってもらうんだから大丈夫に決まってるでしょ。それじゃ!またね、」




手を振って車に向かって歩いてる。




徹也だしね、運転も、大丈夫。




「またね」


あたしも未紗に手を振り返した。