月 —Moon—




「もう本家には戻らないのか?」




「そのつもりです。」



「そうか…。」




あたしよりも未紗のほうが父さんと仲良いような気がする。




「あ、クラスが一緒になったので、伊世とも仲良くさせてもらってますよ。」




「仲良くしてやってくれ、こいつ不器用だから。」



コツッとあたしの頭を小突いた父さん。




うるさいなぁ。



なりたくて不器用になったわけじゃないしっ!




「しってますよ、あたしも好きで伊世といるんで。」




今地味にいいこと言った、この子。




「ははっ、流石未紗ちゃんだな。」




「ふふふ、それじゃあ、またお邪魔しますね。」



未紗は、また父さんにペコッとお辞儀をして立ち上がった。




あたしもそれを見て立ち上がった。





「未紗送らせる。」




「頼んだよ。」




あたしたちは、部屋を出た。