月 —Moon—




「ありがと。」



そう組員に伝えて玄関に小走りで向かう。




かばん頼んだって皐月がなんたらこーたら言ってた。




「未紗!」



あたしは玄関の扉を開けて未紗を呼んだ。




「あ、伊世。」



未紗は笑顔で手を振って玄関まで歩いてきた。




「ごめん、鞄。ありがと。」




そう言って手渡されたかばんを受け取る。




「全然いいよ。」



「部屋きてよ。」




あたしは未紗の腕を引っ張り家にあげる。




「いく。」




遠慮なく言うところが未紗だね。