月 —Moon—




父さんはあたしたちの前に立ち止まった。




「部屋まできなさい。」




「「はい。」」




皐月とあたしは言われるがまま部屋へと向かう。




ピシャリ




襖が閉められ、三人だけの空間に。




「…亞空鴉と出くわしたらしいな。」




「「はい。」」




あたしたちはなかなか顔を上げられない。




俯いたままだ。




「大丈夫か、伊世。」




「はい。」



取りあえず返事はする。




「なんともないか。」




「はい。」




「…。」




「はい。」




「…お前はロボットか。俺は怒っていない。」




父さんに呆れ顔、おまけに溜め息までつかれたあたし。