月 —Moon—




それから皐月が徹也に連絡して車を回してもらった。




「大丈夫ですか、伊世さん。」




「大丈夫。」




徹也がバックミラーであたしの顔を確認した。




そんな心配しなくても大丈夫だから。




「伊世姉、あいつのこと…」




「知ってるわけないでしょ。バカなこと言わないで。」




どうしてみんな知ってる、だとか知り合いだとか言ってくるの?