月 —Moon—




そう言ってあたしは自分の教室に入った。



皐月も、不安そうにあたしの教室を後にした。



皐月は何をそんなに心配しているのだろう。



嫌いなんだから、あたしから近づく訳がないのに。



「…意味わかんない。」



ふと窓の外に視線をやると



「…っ。」



黒い車の男が車から降りてきていて、黄色い歓声をあびていた。