月 —Moon—




「…大丈夫。」



「頭も心配…「伊世。」」



組員の1人の声を遮って聞こえた父さんの声。



「…父さん。」



「大丈夫か。」



組員たちは父さんの前を退き、あたしと父さんは向かい合っている。



「大丈夫。ごめんなさい。」



「大丈夫ならいいんだ。おかえり。」



そう言ってあたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。



「…ただいま。」




父さんに軽く微笑み返して、あたしは自分の部屋へと向かった。