月 —Moon—




「わかればいいですー。」



未だに腕を組んだままの皐月。



「…亞空鴉とは何もない。しつこい、ほんとに、あいつら。」



「そっか。」



皐月は、亞空鴉のことも知りたかったんだと思う。


でも、あたしに気をつかって聞いてこなかった。



だから、あたしがそう言ったあと、皐月がホッとした表情をしたことをあたしは知ってる。



「着きました。」



徹也の声が聞こえて窓を見ると見慣れたあたしの家。



車を降りて、家の中に入る。




「「「姐さん!!!!!大丈夫でしたか!!!???」」」



いかつい男たちに囲まれた。



組員だ。