「おい、俺は。」
げ、皐月。
「あ。」
「あ、じゃねぇよ!!だいたい、俺がどんだけ探しまくってもいねぇし、そしたら亞空鴉といるだぁ?俺らがどんだけ心配したと思ってんだよ。」
助手席に座っていた皐月は、前を向いたまま言い出した。
「…ごめん。」
皐月は、呆れたように溜息をついた。
「伊世姉、自分が西條組ってこと分かってる?結構有名ってことも知ってるよね?見回りしてるときその辺のカス野郎に西條組って名前だしただけでどっか行くぞ?それくらいデカイ組織、その組織の大事な娘。自分の立場理解してくれよ。」
あたし、そんな大切に思われてたの?
「しかも、おまけに兄貴のことまである。こっちは心配で仕方がねぇんだよ、伊世姉と連絡とれないってだけでも。」
あぁ、…そんなに思ってくれてたんだ。
「……ごめん、皐月。ありがとう。」

