月 —Moon—




部屋を出ると、たくさんのバイクと男。



「…。」



落ち着け自分。



大丈夫、このまま突っ切って帰ればいいの、そう。



ただのバイク、ただの男たち。



みんなかぼちゃ。




あたしはそう自分に言い聞かせて、目を開き出口を探す。




部屋のドアから名前が呼ばれてる。




「伊世っ!!!おい!お前ら帰らせんな!!!」



帰らせるな?



はっ、帰りますけど。



隆二がそう言うことによって、一斉に男たちがあたしをみる。




バイク音を聞かなければ大丈夫、フラッシュバックしてこない。



だから、はやく…。




あたしはダッシュで溜まり場の出口を見つけとりあえず真っ直ぐ走った。