「桃乃、昨日の夜の音楽番組みたー?」
「見た見た!昨日、結構豪華なアーティスト出てたよね!」
ある休み時間、高校1年生の私.白雪桃乃は中学からの親友の合田未唯(あいだみい)ちゃんと話していた。
私の前の席に未唯ちゃんが座って、盛り上がっている。
「はぁー……もうテレビの前で1人で盛り上がってたよー」
「私も私も!」
すると―――
「あの、そこ僕の席なんですけど。退いてもらえますか」
低く、冷たい声が未唯ちゃんに向けられた。
声の主は私の前の席の一宮透也くんだ。
「あ……ごめんね。桃乃、私の席に行こ!」
「う、うん!」
一宮くんの雰囲気に圧倒されて、私たちは移動した。