「真奈ちゃん」


水樹先輩に呼ばれ、私は学園の掲示板に貼り付ける生徒会新聞を数枚手にしながら顔を上げた。


「それ、貼りに行く?」

「はい」

「なら、一緒に行こう」


柔らかな微笑みと共に誘われて、私は快く頷き席を立つ。

そして、会長に新聞を貼りに行く旨を伝え、生徒会室を出た。


手にしたこの生徒会新聞は、私たち書記が製作する最後の新聞だ。

新聞に掲載されている内容の中には、屋上封鎖に関する記事もある。

もちろん、神隠しに触れるようなことは書いていない。

老朽化を原因として、修復後も事故防止の為に立ち入り禁止としている。


「……これで、神隠しはなくなりますね」


校内の掲示板に新聞を貼る水樹先輩に声を掛けると、先輩は最後の画鋲を押し込んでから私を振り返った。


「もしかして、まだ俺の事心配してる?」


問われて、私は「少しだけ」と苦笑する。