「この人、痴漢です!」 電車内にその言葉が響き渡る。 そして、一気に静まる。 俺はその言葉にビックリして、 半分手放していた意識をふっと戻した。 自分だけやけに大きくその声が聞こえたから。 クイッとキャップのつばを少し上にあげてみれば、 目の前にいた女が、 隣にいる中年のおっさんの手首をつかんでた。 痴漢したのは、このおっさんで。 されたのは、目の前の女。・・・・らしい。