玄関には、硝子の置物や観葉植物が置かれていた。 履き潰された靴とか郵便物のチラシとか、無駄な物はいっさい無い。 美桜がスリッパを出してくれたので、一応履いてみる。 「おじゃましま~す。」 「どうぞっ。」 美桜はそう言って、リビングに通してくれた。 目の前には大きな窓。 俺の部屋が何個も入ってしまいそうな広い部屋の中には、美桜が言ったとおり誰も居なかった。 まるで生活感のない、モデルルームのような空間。