「…クソ!」

深夜
ここはこの物語の世界、ヘブン。

その大きな世界の大きな街、シルクと言う街の小さな公園。




そこに一人の男と、人間だった『物』が転がっていた。



「また……やってしまったのか?」


その人間…


いや、吸血鬼の口元に深紅の液体が筋を作っていた。




「クソ!…クソ!畜生!!」



ガン!

バキッ!






「あ゛ぁ゛!!!」



男は怒りをぶつけるように地面を頭を叩きつけた。

彼の頭からは、どす黒い血液が夜空に舞っていた。







「…ハァ、ハァ…」


しばらくすると、彼は理性を取り戻した。



「……」


だが、血に濡れた顔に光る瞳には、一欠片の生気も宿ってわいなかった…









彼の名前はルナ。


女と間違える様な整った顔に、赤い瞳が輝き、長い髪の毛がなびく








吸血鬼である。