今は7月中旬。
真夏のように暑い時期。
汗は出るし日に焼けるしでイライラする。
やっぱりあたしは夏が大嫌いだ。
こんな暑い中、外に出るとかマジで無理。
……それでも学校があるから行かなきゃいけないんだけど。
暑い日差しの中、あたしは学校に向かって歩いている。
周りにはサラリーマンや学生達がみんなそれぞれ暑さにうんざりしながら歩く。
人混みはキライだけど、ヘッドホンから流れる音楽が周りの喧騒を消してくれる。
うん、あたしヘッドホンないと駄目だわ。
周りの雑音から逃れるようにヘッドホンを付け歩いているとかすかに聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ゆーみか!おはよー!」
声をかけてきた彼女はあたしの肩をポンと叩いた。
ヘッドホンを外し、彼女を見る。
「おはよ、璃乃」
相変わらずの派手めのメイクにゆるく巻かれた茶色の髪。
耳にはキラキラと光るピアスが付いている。
1年の時から同じクラスの吉川璃乃。