私は、初めてデートした日のことを、思い出した。
高一の夏休みの、最後の日だったよね。
前日にほぼ徹夜してまで、バカな私の宿題を手伝ってくれた、春斗。
春斗は優しかったね。
最初に…映画を見たんだっけ?
私、号泣しちゃったんだったね。
そのあと、この海に来たね。
春斗は、この海で色々なことを話してくれた。
幸せだった。本当に幸せだった。
あの日の記憶が、昨日のことのように思い出される。
「……っ…はる…と…」
笑えない…。
笑えないよ…。
弱い彼女で……ごめんね。
泣き虫で……ごめんね。
こんなに好きなのに、最後まで何もしてあげられなくて……ごめんね。
いっぱい、ごめんねって言いたいことがある。
だけど…。
いっぱい、ありがとうって言いたいこともある。
春斗…。
遠距離恋愛になっちゃったね。
だけど、私もいつか会えるその日まで、ずっとずっと春斗のことだけを想ってるよ。
春斗が書いた手紙、みんなに渡すね。
葵と夏生にも、誕生日が来るたびに読んであげるね。
だから、安心してね…。
春斗、聞こえてる?
溢れる涙で、頬が濡れる。
それでも、私は言った。
「………春斗…愛してる。ずっと、ずっと、愛してる」
当たり前だけど、返事はない。
でも、私は信じてる。
この言葉が、君に届いていることを。
この言葉を聞いた、君がみんなを見守ってくれていることを。
そして…。
いつか、君に、また逢えることを…。