寂しかった。



ほんとは、すごく寂しかった。



春斗が引っ越す前は、パパとママがいないときは、夕飯をよく古賀家で食べたりしていた。


でも……春斗が引っ越してからは、家の中でいつも一人だった。


夕ご飯は、自分で作った料理を、ただ一人で食べる。

せっかく作ったって、味気なんて感じられなかった。


それから、やることがないから部屋で勉強して……。


お風呂に入って。


夜の10時には寝ていた。





「春斗」


「ん?」


「寂しかった」


私は下を向きながら言った。



「うん」


「すごく、寂しかったよ」



「そっか」



そう言って春斗は、私を自分の胸の中におさめた。



「ごめんな。一人にして」



「ううん」


私は春斗に抱きしめられながら言った。


「でも…これからは、俺がいつも一緒にいるから」


「うん…」



温かい春斗のぬくもりに包まれながら、私の瞳から、我慢していた一粒の涙が零れ落ちた。