君がいてくれたこと



涙がおさまったころ、雅が聞いてきた。



「なにがあったの?」



私は答えれなかった。

いや。答えたくなかった。




現実を受け止めたくなくて。

こんな事実なかったんだって。


口にするのが怖くてしょうがなかった。



黙っている私を見て、雅は言った。



「優奈。私、優奈が辛いの見てられない。だって私、辛い気持ちよくわかるから。」




その一言で、ハッとしたんだ。




呪文のように、私の頭の中にリピートされる。




雅に、この辛さを、私が覆わせたんだ、と。